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柳田社会保険労務士・行政書士事務所

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第三者行為災害がおきた時の対応、手続

第三者行為災害とは?

[第三者行為災害とは]
仕事中や通勤途中のケガ、病気などの原因が、第三者の行為(例えば、交通事故、建設物の落下などの突発的な事故、業務に関連して他人から暴行を受けた等。)によっておきた場合の事故、災害のことを労災保険の制度上、「第三者行為災害」と呼んでいるということです。

仕事中や通勤途中におきた第三者行為災害の場合には、被災者又はその遺族は、第三者(加害者)に対して被害に対する損害賠償を請求する権利を得ると同時に、労災保険の保険者(政府)に対しても給付を請求する権利を得ることになります。

この場合、損害賠償と労災保険給付のどちらを先に請求するかについては、被災者又はその遺族が自由に選ぶことができます。

但し、同一の事由(例えば、治療費や休業補償など)について両方から重複して給付を受けるということになれば、被災者又はその遺族は実際の損害額より多い支払いを受けるということになるため、労災保険法において労災保険給付と損害賠償との支給調整(「求償」又は「控除」という調整方法)を行うという規定が定められています。

対応上の注意点

第三者(加害者)と示談を行う場合は、その内容などについて、あらかじめ被災者の所属する事業所を管轄する労働基準監督署(所轄労働基準監督署といいます。)に必ず相談してください。

(その理由)
同一の事由について両方から重複して給付を受け取った場合には、重複している部分について回収されることになるからです。

又、被災者と第三者の間で被災者が権利として持っているすべての損害賠償についての示談(いわゆる「全部示談」)が本当に(勘違いや脅迫によるものではなく、両当事者の本当の気持によるものであること)成立し、被災者が示談額以外の損害賠償の請求権を放棄した場合は、示談成立以後の労災保険の給付は行われないことになっているからです。 

請求手続

第三者行為災害の場合に労災保険から保険給付を受けようとする時は、

通常の保険給付の請求手続きの他に、必ず、「第三者行為災害届」の提出という特別の手続きをする必要があります

つまり、労災保険の保険給付の原因である事故、災害が第三者(加害者)の行為によっておきた時は、

被災者又はその遺族は、通常の保険給付に関する請求書に先立って又は請求書と同時に、その事実、第三者の氏名及び住所、被害の状況などを「第三者行為災害届」により、事故、災害の発生後、速やかに所轄労働基準監督署に届出をする必要があるということです。
 

なぜ、第三者行為災害届の提出を求められるのか?

労災保険の保険者(政府)が、労災保険の保険給付と同一の支給事由のものについて、他の制度(例えば、自賠責保険など)との支給調整を行うために必要な情報を得るため、その提出を求めているものです。

従いまして、正当な理由なく第三者行為災害届を提出しない場合には、労災保険の給付が一時差し止められることがあります。

被災者又はその遺族が提出するもの

被災者又はその遺族が提出するものは、次のものです。

  • 第三者行為災害届                                         2部
  • 次の表の第三者行為災害届に添付するもの
第三者行為災害届に添付するもの
書類名 交通事故による災害の場合 交通事故以外の災害の場合 提出部数 備考
念書(兼同意書) 必要 必要  
交通事故証明書又は交通事故発生届  
示談書の謄本 必要
示談が行われた場合に必要(写しでも可)
自賠責保険等の損害賠償金等支払証明書又は
保険金支払通知書

仮渡金又は賠償金を受けている場合に必要
(写しでも可)
死体検案書又は
死亡診断書
必要

死亡の場合に必要
(写しでも可)

戸籍謄本
※ この表の念書(兼同意書)及び交通事故証明書(又は交通事故発生届)以外のものについては、
    備考欄に該当する場合のみ、提出が必要となるものです。
  • 念書(兼同意書)は、どんな場合にも必ず提出してください。
     
  • 示談を行った時は、速やかに所轄労働基準監督署に連絡してください。
    その際には、示談書の謄本(写しでも可)を提出してください。
     
  • 交通事故証明書は、自動車安全運転センターにおいて交付証明を受けたものを提出することになっています。

    又、警察署へ届け出ていない等の理由により証明書の提出ができない場合は、「交通事故発生届(様式第3号)」を提出することになっています。

    又、交通事故以外の災害で公的機関の証明書などが得られる時は、その証明書などを提出することになっています。
第三者(加害者)が提出するもの

加害者になった場合は、「第三者行為災害報告書」の提出を労働基準監督署から求められます。

(提出を求められる理由)
第三者に関する事項、災害発生状況及び損害賠償金の支払い状況など、事故状況を確認するために必要だからです。

支給調整の方法は?

第三者行為災害がおきた時の損害賠償と労災保険給付の支給調整方法は、「求償」と「控除」という方法によって行われます。

求償とは

労災保険からの保険給付が第三者の損害賠償より先に行われた場合に行われる方法で、
この場合、政府は、保険給付をした価額の限度で被災者の第三者に対する損害賠償請求権を被災者の代わりに取得(代位取得)し、それを第三者(交通事故の場合は、自賠責保険会社など)に請求(求償)するという形で調整が行われます。

但し、次のような場合には、求償は行われません。

  • 同僚労働者の加害行為による災害の時。
  • 同一作業場で作業をする使用者を異にする労働者の加害行為による災害の時。
  • 下請人の加害行為による災害の時。

        など。

控除とは

第三者からの損害賠償が先に行われた場合に行われる方法で、
この場合、政府は、労災保険の給付額から損害賠償の額を差し引いて支給するという形で調整が行われます。

支給調整の対象となるもの・ならないものは?

支給調整の対象となる損害賠償は、労災保険給付と「同一の事由」のものに限られています。

 

従いまして、次のものが支給調整の対象となります。

支給調整の対象となるもの
労災保険給付 支給調整の対象となる損害賠償項目
療養(補償)給付 治療費
休業(補償)給付 休業により得ることができなくなった利益
傷病(補償)年金
障害(補償)給付 身体障害により得ることができなくなった利益
介護(補償)給付 介護費用
遺族(補償)給付 被災者の死亡により遺族が得ることができなくなった利益
葬祭料(葬祭給付) 葬祭費用
支給調整の対象とならないもの

次のものは、支給調整の対象となりません。

  • 特別支給金
    特別支給金は、保険給付ではなく、社会復帰促進等事業として支給されるものですから、支給調整の対象とはなりません。

    従いまして、例えば、休業補償を先に自賠責保険に請求している場合でも、労災保険から支給される休業補償給付(平均賃金の60%)は支給調整されても、休業特別支給金
    (平均賃金の20%)は支給調整されずに満額(20%)支給されます。
     

   又、損害賠償額のうち、次のものは、労災保険の保険給付と同一の事由によるものではないため、支給調整の対象とはなりません。

  • 精神的苦痛に対する慰謝料
     
  • 物的損害に対する損害賠償
     
  • 見舞金
     
  • 遺体捜索費、義肢、補聴器

        など。

支給調整される期間は?

支給調整される期間は、災害発生日から3年間です。

従いまして、控除の場合、年金で支給される保険給付(例えば、障害補償年金や遺族補償年金)は、支払われた損害賠償額に達するまでその支給を停止されますが、

災害発生後3年を経過した時は、たとえ支払われた損害賠償額に達していなくても、支給停止は終了し、保険給付が開始されます。

交通事故の場合、対応は?

 必ず、すぐに警察に届け出てください。

警察に届け出ていないと労災保険や自賠責保険などの請求手続きに必要な「交通事故証明  書」が発行されませんので、必ず届け出てください。

 可能な状況、状態であれば、事故現場で次のことを確認してください。

  • 加害者の氏名、住所、電話番号
  • 加害者の自賠責保険・任意保険の番号及び保険会社名
  • 加害者は仕事中であるかどうか
  • 仕事中であれば、加害者の会社名、所在地、電話番号

これらのことは、労災保険の請求をする時に第三者行為災害届により届け出なければならないことでもありますので、確認を行ってください。

 できるだけ早く「事故発生の具体的場所」及び「事故現場の状況」を把握、確認してください。

このことも、第三者行為災害届により届け出なければならないことですから、できるだけ早く確認してください。

 必ず病院で診察を受けてください。

たとえ、事故当日は症状がなくても、後日、何らかの症状が現れることもありますので、必ず病院で診察を受けてください。

 事故現場では示談を行わないでください。

又、示談を行う場合は、あらかじめ所轄労働基準監督署に必ず相談してください。

労災保険と自賠責保険の対応は?

労災保険と自賠責保険のどちらを先に請求するかについても、被災者又はその遺族が自由に選ぶことができます。

しかし、自賠責保険には次のようなメリットがありますので、通常は、自賠責保険を先に受けるほうが有利です。

自賠責保険のメリット
  • 仮渡金や内払金の制度がある。
     
  • 休業補償が、休業1日につき平均賃金相当額が支払われる。
    (これに対して、労災保険は、平均賃金の8割相当額。)
     
  • 慰謝料が支払われる。
    (これに対して、労災保険は、なし。)
     
  • 治療費の対象が労災保険より広い。
     
自賠責保険について

自賠責保険は、被災者の救済が目的なので、被災者の傷害、後遺障害、死亡に対して支払われます。

尚、被災者の過失割合が70%未満の場合は、減額されません。
 

支払限度額は

  • 傷害の場合、120万円まで
     
  • 後遺障害の場合、3000万円まで
     
  • 常時介護を要する後遺障害の場合は、4000万円まで
     
  • 死亡の場合は、3000万円まで

となっています。

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柳田 健二
資格
  • 1996年 行政書士資格                取得
  • 2009年 社会保険労務                士資格取得

親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。