求人募集、人材の確保・定着、働き方改革をふまえた雇用の手続き・ルール、
資金調達、許認可のことなら、お任せください。

起業支援、人材の確保・定着支援
柳田社会保険労務士・行政書士事務所

〒729-3103 広島県福山市新市町新市220-3

0847-51-5037
営業時間
9:00〜18:00
休業日
土曜・日曜・祝日
時季指定ルールの内容、会社が取るべき対策についてご案内

年次有給休暇の取得日数の把握・管理と時季指定

このページでは、

次のことを記載しています。
その内容は、それぞれの所をクリックしてご覧ください。


時季指定ルールの内容

年次有給休暇管理簿とは、の所で前述しましたように、働き方改革に関連したルールである労働基準法第39条7項・8項により、2019年4月より、すべての個人事業所、会社の使用者に対して、

年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員(管理監督者やパートタイム社員など短時間の勤務で働く従業員も含む。)について、年5日の年次有給休暇を使用者が時季を指定して取得させなければならない、ということが義務付けられました。

そのルールの内容は、次のとおりです。

  • 対象者

    法定の年次有給休暇の付与日数が10日以上の従業員。

    ※対象者には、管理監督者やパートタイム社員など短時間の勤務で働く従業員も含まれます。
     
  • 時季指定の日数

    5日
     
  • 時季指定の期間

    10日以上の年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内。

     
  • 時季指定の方法

    1.まず、使用者が従業員に取得時季の意見(希望)を聴く。

    2.次に、1で聴いた従業員の意見を尊重し、使用者が取得時季を指定する。
     
  • 時季指定を行わなくてもよい場合

    次の場合は、会社は時季指定を行う必要はありません。

    ・従業員が既に5日以上の年次有給休暇を取得している場合。

    ・年次有給休暇の計画的付与制度により、5日以上付与される場合。

    ・従業員自らの取得、計画的付与、使用者による時季指定のいずれかの方法で取得させた年次有給休暇の合計が5日に達している場合。

    つまり、逆に言えば、年次有給休暇の取得日数が5日に達していない場合は、足りない日数の時季指定を行う必要がある、ということです。
     
  • 年次有給休暇管理簿の作成と保存

    年次有給休暇管理簿とは、の所で前述しましたように、使用者は時季、日数、基準日を従業員ごとに記入した年次有給休暇管理簿を作成し、その年次有給休暇を与えた期間中及びその期間の満了後3年間保存しなければなりません。
     
  • 就業規則への規定

    休暇に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項(労働基準法第89条)であるため、使用者による年次有給休暇の時季指定を行う場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、あらかじめ就業規則に記載しなければなりません。

    その就業規則の規定例は、厚生労働省の「年5日の年次有給休暇の確実な取得、わかりやすい解説」に次のように示されていますので、参考にしてください。

    第〇条
    1項~4項(略) 

    5項   第1項又は第2項の年次有給休暇が10日以上与えられた労働者に対しては、第3項の規定にかかわらず、付与日から1年以内に当該労働者の有する年次有給休暇日数のうち5日について、会社が労働者の意見を聴取し、その意見を尊重したうえで、あらかじめ時季を指定して取得させる。

    但し、労働者が第3項又は第4項の規定による年次有給休暇を取得した場合においては、当該取得した日数分を5日から控除するものとする。
[参考]   年次有給休暇の基本的なルール

年次有給休暇の法定付与要件(発生要件)、法定付与日数など、基本的なルールについては、次の「年次有給休暇の付与」のページをご覧ください。

時季指定義務に対応していくため、会社が取るべき対策

年5日の時季指定義務に対応していくためには、次の1~5のことを行う必要があります。

  • 1
    まず、年次有給休暇管理簿により、次のことを正確に把握することが必要です。
  • 時季(その従業員が年次有給休暇を取得した日付)
  • 日数(その従業員が年次有給休暇を取得した日数)
  • 基準日(その従業員に年次有給休暇を取得する権利が発生した日)

なぜなら、

年5日の時季指定を行うためには、各従業員に何日年次有給休暇が付与されていて、既に何日取得しているのかといった年次有給休暇の取得状況を正確に把握することが必要だからです。

  • 2
    年次有給休暇の管理をしやすくするために、次のいずれかのことを行うことをお勧めします。
  • 各従業員の基準日を年始(1月1日)や年度初め(4月1日)に統一する。
  • 各従業員の基準日を月の初日に統一する。

(このことを行う理由)

従業員を雇用した日が異なれば基準日が従業員ごとに異なるため、年次有給休暇管理簿による管理が複雑となり、時季指定のタイミングが難しくなるからです。

  • 3
    取得時季の調整をしやすくするために「年次有給休暇取得計画表」の作成をお勧めします。

(そのことを行う目的)

年度別、四半期別、月別などの期間で年次有給休暇取得計画表を作成し、従業員ごとの年次有給休暇の取得予定日をあらかじめ明らかにすることにより、出来るだけ同じ日に複数の従業員が休むことのないよう、職場内の取得時季の調整をしやすくするためです。

  • 4
    年次有給休暇の計画的付与制度(計画年休)を導入する。
計画的付与制度とは

従業員がためらいを感じずに年次有給休暇を取得しやすくするために、会社があらかじめ計画的に年次有給休暇取得日を、会社・事業所単位、班・グループ単位、個人単位で割り振ることができる制度です。

計画年休の導入には、就業規則による規定と労使協定の締結が必要になります。

導入のメリットは
  • 計画的付与制度で取得した年次有給休暇も年5日の取得義務日数としてカウントされますので、会社は労務管理がしやすく、計画的な業務運営をすることができる。
  • 従業員は、ためらいを感じずに年次有給休暇を取得できる。
計画的付与の対象となる日数は

従業員に付与される年次有給休暇の日数のうち、5日を除いた残りの日数を計画的付与の対象にできます。

つまり、年次有給休暇の日数が10日の従業員に対しては5日、20日の従業員に対しては15日までを計画的付与の対象とすることができる、ということです。

計画的付与の方法は

次の方法がありますので、各事業所、会社の実情に合った方法を選択されるとよいでしょう。

  1. 会社、事業所全体の休業による一斉付与
    (全従業員に対して同一の日に年次有給休暇を付与する方法)
  2. 班・グループ別の交替制付与
    (チーム、グループ、担当部署ごとに年次有給休暇を付与する方法)
  3. 年次有給休暇付与計画表により個人別に付与する方法
    (個人ごとに年次有給休暇付与計画表により年次有給休暇を付与する方法)
計画的付与制度を導入すために必要な手続きは

計画的付与制度を導入するためには、次のように就業規則による規定と労使協定の締結が必要になります。

  1. 就業規則による規定

    年次有給休暇の計画的付与制度を導入する場合には、

    まず、就業規則に「5日を超えて付与した年次有給休暇については、従業員の過半数を代表する者との間に協定を締結した時は、その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする。」などのように定めることが必要です。
     

    就業規則の規定例

    (年次有給休暇)

    第〇条(1項、2項省略)

    3.第1項第2項の規定にかかわらず、会社が労働者代表との書面による協定により、各従業員の有する年次有給休暇日数のうち5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して取得させることがある。

    4.従業員はその保有する年次有給休暇のうち、前項の労使協定にかかわる部分については、その協定の定めるところにより取得しなければならない。

     

  2. 労使協定の締結

    実際に計画的付与を行う場合は、前述の就業規則の定めるところにより、従業員の過半数で組織する労働組合又は従業員の過半数を代表する者との間で書面による協定を締結する必要があります。

    この労使協定は、所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。

    労使協定には、次のことを定める必要があります。

    ①計画的付与の対象者(或いは、対象から除く者)


    ②対象となる年次有給休暇の日数


    ③計画的付与の具体的な方法

    ・会社、事業所全体の休業による一斉付与を行う場合は、具体的な年次有給休暇の付与日を定めます。

    ・班、グループ別の交替制付与を行う場合は、班、グループ別の具体的な年次有給休暇の付与日を定めます。

    ・年次有給休暇付与計画表による個人別付与を行う場合は、計画表を作成する時期とその手続きなどについて定めます。


    ④年次有給休暇の付与日数が少ない者への扱い

    会社、事業所全体の休業による一斉付与を行う場合には、新規採用者など5日を超える年次有給休暇がない者に対して次のいずれかの措置を取る必要があります。

    ・一斉の休業日について有給の特別休暇とする。

    ・一斉の休業日について休業手当として平均賃金の60%以上を支払う。


    ⑤計画的付与日の変更

    あらかじめ計画的付与日を変更することが予想される場合は、労使協定で計画的付与日を変更する場合の手続きについて定めておきます。
     
  • 5
    年次有給休暇を取得しやすい職場環境づくりを行うため、次のことを行うことをお勧めします。
  • 「業務のマニュアル化」、「情報の共有化・見える化」と「一業務複数名担当制」を行う。 
  • 「職場のルールブック」を活用して、年次有給休暇取得のルールや手続きなどについて理解や周知を図る。
  • トップ(使用者、事業主)の名前で全従業員へ年次有給休暇所得の促進を文書、メールなどで呼びかける。 
一業務複数名担当制とは?

一つの業務又はクライアントを1人の社員が担当するのではなく、一つの業務又はクライアントを2人以上の複数の社員が担当したり、或いは、チームを組んで担当するという仕事のやり方です。

複数名或いは、チームを組んで担当することにより、休暇を取得する社員がいた場合でも、或いは、突発的なことなどが起きた時でも対応することが可能となります。

そして、この一業務複数名担当制を進めていくうえで必ず必要となるのが、次の「業務のマニュアル化」です。

業務のマニュアル化とは?

業務内容やその業務に必要な情報・知識・スキル、仕事のやり方・進め方、作業手順、対応方法、注意するポイントなどをマニュアルにしておき、そのマニュアルを見れば、休暇を取得する社員がいた場合でも、或いは、突発的なことが起きた時でも、誰かが(例えば、他のメンバーや所属長、上司)その業務又はクライアントに対して対応できるようにする、という仕組みのことです。

更に、前述の一業務複数名担当制を進めていくうえで必ず必要となるのが、次の「情報の共有化・見える化」です。

情報の共有化・見える化とは?

業務を担当する複数名の社員、チームの社員、所属長、上司の間で次のことを行う、ということです。

  • 業務の進捗状況を確認する仕組みを作る。
  • 業務関係のメールは、すべてメンバー全員や所属長、上司にもわかるようにしておく。
  • メンバー全員のスケジュールがわかるようにしておく。
  • メンバーの誰かが休暇を取得した時や不在の時は、誰がその業務を補完するのか、業務分担を明らかにしておく。
  • 事前にわかっていることは、早目に伝えるように指導や研修を行う。
  • 「職場のルールブック」などを活用して、「報告、連絡、相談及び引継ぎ」に関する指導や研修を行う。

 

職場のルールブックとは?

就業就業規則などに定めている

  • 職場の基本ルール(出退勤のルールなど)
  • 会社が禁止していること(ハラスメント行為など)
  • 制度や定めのルール(休暇など)
  • 顧客への接遇、対応マナー
  • 企業理念、経営方針

等を具体例や判断基準をあげたり、具体的にわかりやすい言葉で記載し伝えることによって、職場において実際に機能するもの、活用できるもの、役に立つものにするためのもの(ハンドブック的なもの)です。

一業務複数名担当制、業務のマニュアル化、情報の共有化・見える化を行う目的は?

年次有給休暇を取得する社員がいた場合、前述しました一業務複数名担当制などを行うことによって、その休暇取得者の業務をカバーできるような業務体制づくりを行い、業務に支障をきたさないようにすることによって、年次有給休暇を取得しやすい職場環境を作ることが目的です。

又、その他にも次のような目的やメリットがあります。

  • 休暇を取得しやすい企業であるという情報発信をすることによって、人材の確保・定着の効果が期待できる。
  • 業務の効率化と労働時間の削減を図ることができる。
  • 組織運営上のリスク対策を図ることができる。
  • 離職防止を図ることができる。
  • 業務の見直しにつながる。
  • ミスやトラブルの防止につながる。
  • 人材の育成につながる。

など。

お問合せやご依頼は

次のお問合せフォーム又は電話にてお願い致します。

お願い

できれば、お問合せフォームによるお問合せやご依頼をお願い致します。

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せはこちら

0847-51-5037

受付時間:9:00~18:00(土日祝祭日を除く)

お電話でのお問合せは
こちら

0847-51-5037

お問合せフォーム、メールでのお問合せは24時間受け付けております。お気軽にご連絡ください。

セールス・勧誘、
電話・メール・FAXはお断り‼


セールス・勧誘電話等は業務に支障をきたし、迷惑です。行わないでください。

柳田 健二
資格
  • 1996年 行政書士資格                取得
  • 2009年 社会保険労務                士資格取得

親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。